成長ホルモンと俺の第二の人生 〜還暦からの分泌的生活〜
成長ホルモンと俺の第二の人生 〜還暦からの分泌的生活〜
1. 定年後、俺は「成長ホルモン」という言葉に出会った
「老化は止められないが、遅らせることはできる」
そんなセリフに感動して涙ぐんだのは、退職祝いに息子がくれた健康本を読んでいたときだった。
“成長ホルモン”——名前からして若さの象徴じゃないか。子どもが背を伸ばすためのホルモンが、還暦を過ぎた俺にもまだ必要らしい。何でも筋肉を維持し、脂肪を燃やし、骨を強くし、心まで前向きにしてくれるらしい。そんな万能なホルモンを、なぜ今まで気にも留めなかったのか。
というわけで、「分泌量の再起動」を人生の新たなテーマに設定したのだった。
2. 分泌する生活とはどんな生活か?
だが問題は、「どうすれば分泌されるのか?」である。
調べてみると、主に以下のようなことがカギになるという。
睡眠(特に深い眠り)
運動(特に筋トレと有酸素運動)
空腹時間(インスリンが低い状態)
笑いとストレス解消
亜鉛やアルギニンなどの栄養素
つまり、早寝早起きして、適度に腹を減らし、運動して笑って過ごせということだ。まるで道徳の教科書だ。
だがこれを「ホルモンのため」と思えば、少しやる気も出る。というわけで、俺の「分泌的生活」が始まった。
3. 分泌のための睡眠改革
まずは“寝る”ことから始めた。
ところが、定年後というやつは、なかなか夜に眠くならない。テレビはつまらんし、スマホをいじると目が冴えてくる。
そこで俺は「成長ホルモンよ、出てくれ」と唱えながら寝るようにした。暗示療法である。布団の中で羊の代わりに「ホルモン、ホルモン…」とつぶやく。家内からは「霜降りの夢でも見てるのか」と言われたが、気にしない。
さらに、部屋を真っ暗にし、ブルーライトカットメガネを導入。風呂は寝る2時間前に済ませ、ぬるめで15分。ついでにヒーリングミュージックを流すと、もう完全に“自己催眠サロン”である。
その成果か、少しずつ「朝の爽快感」が戻ってきた。たぶん成長ホルモンも「お呼びですか」と顔を出してくれている。
4. 筋肉は裏切らない。だが筋肉痛はもっと裏切らない。
成長ホルモンは運動によっても分泌が促進される。
問題は、俺の筋肉が30年ほどサボっていたことだ。筋トレと聞いて思い浮かぶのは「若者の趣味」だったが、いざ始めてみると、何のことはない。椅子からの立ち上がりもスクワットだし、ゴミ出しも有酸素運動だ。すべてが「ホルモン分泌のため」と思えば、生活の中にジムがある。
ただし、初日はやりすぎた。
腕立て伏せ5回で「肩が外れたか?」と思う激痛、スクワット10回で「明日、起き上がれないのでは」という恐怖。これが“初動負荷”というやつか。
数日後、ようやく体が慣れてくると、妙に「張っている感じ」が快感になってくる。家内から「なにニヤついてるの」と言われたが、「成長ホルモンが分泌されている実感だ」と堂々と答えた。
5. 腹が減るのは、ホルモンの合図?
成長ホルモンは「空腹」状態で分泌されやすい。
ということは——つまり、間食をやめろということだ。
これが最も苦労した。退職後はつい、冷蔵庫のドアを開けては「何かないか」と探してしまう。まるで旧友にでも会うかのように冷蔵庫と再会してしまうのだ。
そこで俺は、時間を区切って食べる「時間制限食」に挑戦した。16時間断食とまではいかないが、朝8時〜夕方6時の間だけ食べる。空腹時間にお茶を飲みながら「今、俺はホルモンを呼んでいる」とイメージトレーニング。
ついでに、プロテインも取り入れた。バナナ味はおやつ感覚で、空腹を紛らわせる。
6. 笑いとホルモンの密接な関係
「笑う門にはホルモン来たる」と言いたくなるほど、笑いは成長ホルモンに効くらしい。
これは簡単だった。
俺には孫がいる。3歳の男の子で、靴を履いたまま風呂に入ろうとする彼を見ているだけで、1日3分泌は確実だ。
また、近所の公民館で落語会があると聞き、毎週通うことにした。最初は観客が少なかったが、俺の爆笑が評判となり、今では「笑い屋のおじさん」として演者にも覚えられている。
…ただの目立ちたがり説もある。
7. 栄養補給は科学的に
俺は元・技術職。こういうときはデータとロジックがモノを言う。
成長ホルモンをサポートする栄養素として有名なのが以下だ。
アルギニン:大豆、ナッツ、魚介類
亜鉛:牡蠣、レバー、納豆
ビタミンD:日光とキノコ
ビタミンB群:玄米、肉類
オメガ3脂肪酸:青魚、アマニ油
というわけで、毎朝「分泌朝定食」として、以下のようなメニューを実施中。
納豆と卵かけご飯(亜鉛・たんぱく質)
焼き鮭(オメガ3)
キノコの味噌汁(ビタミンD)
ほうじ茶(カフェインなし)
これを見た娘は「健康オタク通り越して研究員じゃん」と笑ったが、笑われること自体がホルモンにはプラスなので、むしろ歓迎である。
8. 分泌は心に宿る
成長ホルモンを「若さの泉」とするなら、心の在り方がその水源かもしれない。
俺は最近、「今日も分泌できたか?」と寝る前に自問するようになった。
「筋トレした」「笑った」「孫に会った」——そんな一日の積み重ねが、自分を保ってくれている気がするのだ。
不思議なことに、肌艶が良くなったと家内に言われた。「え、最近なんか若返ってない?」と。
ふふふ、それは君に恋してるからさ——なんて冗談を言ったら、「あら、また分泌してるのね」と笑われた。
9. 成長ホルモンよ、人生をもっと面白くしてくれ
若さとは、肉体ではなく心の状態。
それを再確認させてくれたのが、成長ホルモンとの出会いだった。
退職後の生活は、自由と退屈が隣り合わせだ。だが「分泌」という目標があるだけで、日常が意味を持つ。
公園の散歩、笑い声、筋トレ、野菜炒め…すべてが「未来の俺」を作ってくれると感じられる。
そして、何よりも嬉しいのは、未来を語るときに「まだ分泌してるから大丈夫」と言えることだ。
10. エピローグ:ホルモンとともに、ゆるやかに進化する人生
70代になっても80代になっても、分泌は止めたくない。
たとえ少量でも、ホルモンが出ている限り、「まだ伸びしろがある」と思えるのだから。
俺の新しい人生は、“分泌的に前向き”でいこうと思う。
世間がなんと言おうと、俺はこれからも、
「ホルモンが呼んでるから」と言って、早寝早起き、筋トレ散歩、孫の動画に爆笑しながら、健やかな日々を続けていこう。
——そう、分泌のために。
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